観劇メモ

観に行った舞台のメモや感想を書きなぐる場所。

劇団AUN『桜 散ラズ...』を観てきました。

テレビドラマ 『ゆとりですがなにか』で楽しみにしている吉田鋼太郎さんの舞台があるんですって!?そして大塚明夫さんの芝居が生で観られるんですって!?という非常にミーハーな理由で劇場へ足を運びました。

きっかけはコレ。

アル中思しき中年男性と、クロスフェードする形で青年時代の家族との生活、、、自らのルーツを追体験する物語でした。主人公こそその男性であるものの、物語の中心は吉田鋼太郎さん演じる一家の主(つまりおじいちゃん)でした。

f:id:sue_vavava:20160629234548j:plain

舞台は戦後の町工場。息子たち(父と叔父)家族で仕事に打ち込む様子、高度経済成長で活気づく作業場、NC工作機械の台頭、バブル崩壊と経営悪化、従業員のリストラ、自身の病、、、情勢が変わる中での失望や絶望/信頼や愛情が色濃く現れていた。

元戦闘機乗り(兼もうひとりのおじいちゃん)を演じるのは大塚明夫さん。部下を失い生き延びてしまったこと、懺悔。戦時中を振り返るモノローグは圧巻で、客席のいたるところで涙、涙。

現代シーンも魅力ある人物が多く、特にアル中に向き合う面々の、性格にワケありな感じや挙動不審な様には思わず「こんな人いる!」と思ってしまった。

装置メモ。鉄骨で句切られた舞台奥には旋盤や部品カゴ、まさに作業場であった。作業着の男たちも屈強で、汚れ具合や私服のチャラさも実にそれらしい。階段を使って方を組む航空士三人組もいい表情。

・・・

昭和にあふれていたであろう「一家が幸せだったころ」が色鮮やかに描かれていた。なら今は希望はないのか、というわけではなく、その時々に応じた前向きさってあるんだと思う。わし平成生まれけど。

感謝とか、謝罪とか、言える相手と言えない相手がいるよなあというのも感想で、おじいちゃんおばあちゃんの孫への愛も溢れていた。孝行しないとなあ。あとで電話しよう。

ところでおじいちゃん2人に囲まれるシーンがちらほらあったけど、孫役、役者冥利に付きますよね。プレッシャーすごかったろうなあ。

劇団AUN『桜 散ラズ...』
2016/06/29(水)13:00@シアターグリーン BIG TREE THEATER