平田オリザさん主宰の公演を観てきました。
当日でも入れましたよ!
地域の相談センターの職員と、相談者との会話の中で物語や全容が進展していく。「現代口語演劇」とはこういうことか。「淡々とした」で括ってしまうのは自分に語彙力が無いからで、他では観たことのない舞台であった。
相談の軸になっている虐待・DVはもちろん、キーワードとして貧困や非正規なども飛び出し、現代日本における闇が随所に描かれていた。一方で、物語としては相談所の一風景。そしてコメディとして笑える作品であった。主張を押し付けてくるような脚本・演技でないところが心地よい。
何より驚いたのは登場人物それぞれの物語が放置されたまま終演を迎えたこと。盗撮の件とか、恋愛模様とか、転職の結果とか。しかしそれらは要素の一つであって、「社会問題を影絵のように映す」という意味では、むしろ突き付けられた思いである。
装置メモ。相談所のロビーには丸机や椅子。両はけ口のアーチ状の木枠と天井の垂木が役所感ある。舞台奥には相談室が3つ、チャイムやブラインド完備。本当に防音効果があるのか、セリフを遮るように使われていた。
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日常にごくありふれた会話で、主張したり音響照明で煽ることもなく、冷静に闇を見せつけられた感じだ。なんだか自分には関係のない世界のお話のよう。でもやっぱり身近で深刻な課題。こういう観せ方って美しいと思う。
あとこれ。共感してしまったので貼っときます。
あのラストはあっけないが、問題を防音の部屋に入れて、ブラインドを閉じて見ぬふりをするのは、今のニッポンなんじゃないのかなあ。
— ひべおってばらゔっきょゔ (@BSep20) 2016年7月10日
「いつか滅びゆく日本」というオリザさんのコメントも考えさせられる。