観劇メモ

観に行った舞台のメモや感想を書きなぐる場所。

『ドラゴンクエストライブスペクタクルツアー』を観てきました。

あの時の僕たちは、確かに勇者だったんだよ!

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ライブスペクタクルツアーという名の通り。演劇というよりライブ、アクションやダンスを魅せるショーとなっていた。公式曰く「サーカス」。

物語の軸はDQ3がベースになっており、勇者オルテガのシーンで開幕する。意志を継ぐ勇者と、その世界に迷い込んでしまった(他ナンバリングの)仲間たちと共に、バラモス・ゾーマの討伐を目指す。オープニングの歴代勇者ダイジェストは感動もので、紹介ナレーションと勇者の姿が素晴らしい。

公演時間は休憩込みで120分。6つのオーブを集めるくだりは各地の象徴的な場面を切り取るだけであったが、毎回のように洞窟に入って殺陣を繰り返しているようでは、確かに間延びしてしまうだろう。ポールダンスやエアリアルダンスもあり、ショーをより華やかにしていた。見どころやファンサービスは各所にあったと感じる。

ビアンカとフローラのバトル!
ラーミア!飛んだ!!
・「誰かいるのか? わしにはもう何も聞こえぬ。 何も見えぬ。」

何より、物語の主役は「名もなき勇者」ということで、会場の誰もが一人の勇者であるという趣向が凝らしてあった。

装置メモ。平場が直線に3箇所?そこをつなぐようにいくつもの橋。中央の台は筒状に上下する仕掛け有り、勇者を高台で際立たせるのはもちろん倒した敵を隠すのにも有効。橋も上下する。十字に広がる縦長スクリーンは美麗なマッピングによって、背景にも技エフェクトにも活用可能。

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〈公式サイト〉ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアーより引用。

360度囲まれている構造上、見えない箇所は生まれてしまう。アクションごとの役者の立ち位置、長めのカーテンコールなど、どの席でも楽しませたいというサービス精神を感じた。自分はアリーナ席で観ていたが、「表情や造形を見たければアリーナ席、全体像や没入感は2階席」という印象。

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2.5次元産業としてはこれ以上ない規模の公演だと思われる。プロジェクションマッピングは壮大で、スタッフ陣も一流のメンバーが揃っている。アクションや修理まで見越した衣装小道具、異形でありつつ柔らかさを残したモンスター造形、これらも見どころだろう。そのあたりのこだわりはパンフレット「冒険の書」に詳細が書かれている。

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1つ1つのエピソードに当時を思い出す大人、単純にショーとして楽しむ子供、友人と来ても家族で来ても楽しめる作品であろう。BGMをはじめこれでもかとDQ要素が詰め込まれていて、シリーズを遊んだ人ほどたまらないのでは。

ある作品に影響を受けた世代が、生産する側になった/お金を稼ぐようになった、などから、この手の作品や表現は今後増えると思っている。それだけでなく、空想や画面の中でしか存在しえなかったものに対して、ついに技術が追い付いしまいつつある。これまでに築かれてきた1つの文化が、また別の形に進化・昇華する瞬間に立ち会ったような感じだ。

ドラゴンクエストライブスペクタクルツアー
2016/07/29(金)15:00@さいたまスーパーアリーナ