再演に再演を重ね今回で6回目だとか。
安易な舞台化ビジネスではない、納得の完成度と確かな人気がそこにはありました。
たいへん満足です。上演時間140分でサーカス編を濃密に描ききる、その手腕には圧倒されました。
みどころ
目の前に存在するキャラクター
ビジュアルはもちろん、2時間を超える中で途切れること無く「キャラクターが生きて」いました。
セバスチャンの忠実かつ怪しい雰囲気はもちろん、小道具や映像を使っての「悪魔らしいアクション」もイメージ通りです。
シエルを演じるのは12歳の子役だそうで、子供らしさと悪の貴族らしさの両面は圧巻です。
頭一つ抜けて「イメージ通りだ!」と思ったのはケルヴィン男爵とソーマですね。
サーカスらしい演出と衣装
サーカス編なのだから当然サーカスらしい演出もあるだろう、という期待に応える演出であった。
新体操的なアクションはもちろん、エアリアル、一輪車など観ていて面白い。しかしこれはサーカスではなく舞台、彼らも俳優。投げたナイフがいつの間にか刺さっている手品的な観せ方は面白かった。
屋敷への襲撃シーン
ファントムハイヴ家への襲撃は見どころのひとつですよね。
スクリーンの映像に合わせたアクションはもちろん、舞台の高低差を活かした観せ方は良かったです。団員の超人的アクションと使用人それぞれの戦い方、バッチリ表現されていました。
舞台オリジナルの要素も
サーカス編単発ということは使用人勧誘のシーンを描く必要もないわけで。そこをうまく使って「スネークに職務質問する刑事」というコントのようなシーンが挟まれていました。
舞台の息抜きだけでなくキャラクターを一層好きになれる面白い試みでした。
「総集編」としての納得の出来
アニメでは1クールかけて放送されたサーカス編。そこから「黒執事らしさ」を濃縮した総集編になっていたと感じます。
半ばサービス的な掛け合い要素はソーマとアグニに担わせ、またアクションも大胆かつ時間的にはコンパクトに仕上げているのが要因だと思う。
各々の思惑を会話で説明するのではなく、歌やアクションの中で観せているのもうまい。
装置メモ
舞台中央には円形の平台があり、その周りを沿うようにして階段やテントの装置が設置される。円を半分に遮るように幕を閉じれば、スクリーンとして使いながら舞台奥のセッティングも可能。
(この巨大スクリーンを使ってのシネマティックレコードがカッコイイんですよ!)
かみしもそれぞれに階段からの高台あり。台から台への綱渡りや空中ブランコもあり、ワイヤーで吊っているとはいえヒヤヒヤものである。
さいごに
漫画やアニメとはまた違った、しかし確かな黒執事の世界がそこにはあった。年明けにはアニメ映画も企画されている黒執事、今後の展開にも期待しちゃいます。
あ、特撮俳優もたくさん出演なさっていて楽しかったです。
ミュージカル「黒執事」~NOAH'S ARK CIRCUS~/脚本:竜崎だいち・毛利亘宏/演出:毛利亘宏
2016/11/22(火)18:00@TOKYO DOME CITY HALL