『LIFE!』や『サラリーマンNEO』は大好きだったので...その雰囲気と同じベクトルの、笑いがありました。
あらすじメモ
ステージナタリーのコメントを引用します。
内村光良コメント
3人の冴えない中年の役者とそれを取り巻く人々の物語。ドラマ撮影や舞台稽古等で必死にもがき戦うドタバタ模様をお楽しみ下さい。
そして少しの中年の切なさも。
内村光良、6年ぶりの書き下ろし「東京2/3」に長谷川朝晴&池田鉄洋ら - ステージナタリー
みどころ
ずっとコメディ
終始笑っていた気がする。各主人公とそれを取り巻くキャラクターたちとの掛け合いが実に面白いコントになっていた。
魅力的なサブキャラクター
それぞれの物語に登場するキャラクターはどれも魅力的でコントを盛り上げる。その中でも主人公を振り回す強烈なキャラクターを演じるのは、これまた別の主人公を演じる役者たち。この面白さは舞台ならではであろう。
演じ分けという意味ではさすがトップのエンターテイナーという感じだ。衣装の早替えもスムーズで、脚本や衣装チームの素晴らしさもあるのだろう。
群像劇としての魅力
例えば朝ドラヒロインの「チチ姉ちゃん」と舞台演出助手の2人が姉妹だったり、
その舞台の衣装さんは(別の)主人公の元奥さんだったり、
テレビドラマと朝ドラのスタッフさんが同一人物だったり...
いろいろなところで物語と物語が微妙に交差し作用し合う。その群像劇ならではのカタルシスは健在!
収束していくクライマックス
「バンドシーンの撮影」「朝ドラの長回し」「舞台での300人切り」という運命の金曜日に向かって物語が急激に加速する。
中年が必死にドラムを叩く姿、客を引き込む独り語り、役者も衣装も必死に進められる殺陣シーン、それぞれの必死さが伝わってくる。
これらが1つの舞台上で同時に行われるものだからその熱量はすさまじい。
バンドがあるというのも効果的で、生演奏が双方を盛り上げる様子も感動的であった。
装置メモ
様々なデザインの扉がミックスウッドのような組み合わせになったものが、吊られている。これがプレーンな状態。また舞台の両端にも高さのある扉の意匠がみられる。
ドラマの撮影というシーンが多いため、セットが様々入れ替わる。オフィスのセット、昭和な風景、公園のベンチ、などなど。運び込まれる大道具、吊りパネルの転換、それらがスタッフ役の手によって組み替えられていた。
スタッフ役が存在するというのが効果的で、大掛かりな転換そのものをシーンとして見せる手腕には膝を打つ。
まとめ
『LIFE!』で見ていたキャラコントの雰囲気をより舞台映えさせ、3つの群像劇として構築されていたように思える。コントとしての面白さは言うまでもなく、脚本家・内村光良の手腕を感じずにはいられない。
3人それぞれが抱える悩み、例えば家庭のことや将来のこと、それらすべてがうまく進むわけではないにしろ、各々の中で決着がついて前向きになる様はさわやかであった。
『東京2/3』作:内村光良、演出:飯山直樹
2017/05/12(金)19:00@サンシャイン劇場