vavavaの観劇メモ

観に行った舞台のメモや感想です。完全に自分用なのでネタバレにはご注意を。

【舞台】ホエイの『郷愁の丘ロマントピア』を観てきた。

2018年はじめの一本。

ドキュメンタリー?語り部?一つの町の歴史を伝えると同時に、現代社会の抱える問題を突き付ける、しかしながら笑いも多く耳には軽快で、不思議な時間でした。 

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そういえば年末に観た2本を文字にしてないけどそのうちきっと。。

あらすじ

北海道空知地方、夕張。
1980年代初頭。かつて良質な製鉄用コークスを産出し、高度経済成長を支えたこの地方の鉱山も、エネルギー政策の転換や、安い海外炭の普及により閉山に追いやられていた。
「石炭から石油へ」「炭鉱から観光へ」
国策で推し進められてきたはずの産業は、急激な転換を迫られ、混迷し、国からも企業からも見放され衰退していく。
それから約20年後、2000年代、財政破綻後の夕張。
再建の道は絶望的とされ、この町から出ていく者はあとを絶たない。
2014年、かつて2万人近くが暮らした町たちが、ついにダムの底に沈んだ。
いま、町を弔う。

青年団リンク ホエイ

思ったこと

「沈んだ街」が舞台というだけあって、かつての活気や現在の不安の両方が鮮明に描かれていた。過去と現在の変化が衣装小道具の早替えはもちろん、演技によって瞬時に切り替わるのは一流としか言いようがない。どの時代どの状況も生きている感じがした。

兎にも角にも感じたのは、炭鉱の隆盛と衰退のドキュメンタリーのようだったということ。いくら取材を元にしているとはいえ、演劇は虚構である。しかしながら、虚構をリアリティのある情景として突き付けるのも、また演劇の持つ力だ。これは、夕張にかつてあった風景そのものだろう。

その語り部的要素とは別に、現代社会の課題も鮮明に描かれているのも魅力であった。

この町が好きだという老人たちが「いいところだ」「子供を産め」「俺達がいるから安心」などと若者に言うのは簡単だ。私なぞは若者側に感情移入しているわけだから「わかりやすい老害だなあ」なんて思ってしまう。

ではなぜ老人たちはこの町に愛着があるのか。高度経済成長に伴う発展はもちろん、閉山、バブル崩壊など苦労もあったのだ。そこに生きた自負や、危険な現場に身をおいてきた覚悟ゆえと分かると、どちらが悪いという二元論では語れなくなる。

そしてラストシーン、心臓が悪く動かなくなった兄貴を背に場面が進む。

救急を呼んだはいいが「待つしかない」状況、それを背に始まる昔話、極め付きは若者に「なんでもいいから話をしてくれ」という無茶振りで幕が下りる。

現代社会のいろいろな闇を感じてしまわずにはいられない。

ここまで書いておいて難ではあるが、テンポの良さや笑いどころもしっかりあった。あったというより、全編通して会話が軽快かつキャラクターも魅力的で、客席からはしっかり笑いが起こっていた。

装置メモ

舞台奥には一面の白い布、映し出されるブルーやグリーンがきれいなこと。

舞台中央には白い石碑が一つ。胸元くらいの高さか。劇中で複数登場する慰霊碑としてだけでなく、正面の黒い石部分を画面に見立ててテレビとして使用しているのには脱帽。小道具を隠すスペースとして機能していたのも印象的だった。

さいごに

正直なところ書ききれないことが多いし、いつもながら語彙力が伴わない。ぐっときたシーンもいっぱいあったのだ。
・炭鉱夫時代の回想、照明が白熱灯?だけの仄暗いシーンには引き込まれる
・その時代をともにした男たちの友情
・待つ女たちの心持ち、テロップを見て「この人知ってる」の軽さと重さ
・すっかり夕張サイドに感情移入した頃に現れる「住宅の営業マン」
・その営業マンにもバブル崩壊を背負っているということ

いろいろ刺さるところがあったのは原爆界隈の平和学習のからかもしれない。

誰しもが「見えていないだけの過去」を積み上げてきたのだ。そのことを忘れないようにしたい。

ところで、さだまさしの「天然色の化石」「水底の町」を思い出しましたとさ。

青年団リンク ホエイ『郷愁の丘ロマントピア』作・演出:山田百次
2018/01/19(金)19:30@こまばアゴラ劇場