ようやく観ました。dアニメストアの配信で。
視聴前の見立ては「谷賢一の脚本演出ならハズレはないだろう」です。
(トップ画像は公式より引用)
超進化ステージ「デジモンアドベンチャー tri.~8月1日の冒険~」出演者&メインビジュアル解禁!
履修状況
携帯ゲームは1と2、TVアニメは当時無印を見てたようなそこまで熱心じゃなかったような。
そして20th発売に合わせて無印だけ見ました。浅いですね。
あらすじ
もなにも大方の予想通り終わらない8月1日ってことで。
時系列的には「無印~02~triの途中」になるのかな?
感想
『三文オペラ』を観て以降、私の中には「谷作品にハズレ無し」っていう盲信があって、まさにその通りでした。
2.5次元作品としては静かというか、「少年少女が悩みを乗り越える」というわかりやすいストレートプレイでキレイにまとまっていました。
以下雑記
人物について
「このキャラとこのキャラはこういう会話をする」が表現されていたのが良い。
ミミはなんだかんだキャンプに荷物持ち込みまくるだろなーとか、それもやっぱり日傘だろうなーみたいな。
光子郎は劇中でパソコン無しだけど、だからこそ「検索マシーンではない部分」が際立っていて、やっぱり頼れる参謀でした。
ところで「仮説を立て計算を始めフェルミ推定がどうのこうの…」というシーンが、この間観た「くろねこちゃんとベージュねこちゃん」の父親だなーと思いました。専門用語をきちんとセリフにして、キャラ造形に生かされている感じ。
丈先輩が特に好きです。受験に悩みながらも仲間も心配だし、でも来たら来たで空回りしてるところが等身大って感じで良い。
実はメンバーの中で唯一、未来へ足を踏み出していて、諭すような役回りも担っているのがかっこいいですね。もちろんコケるところまでがセットです。
デジモン(操演)について
公式の写真とかムービーとか見ると黒子おるやん?どうしても「オモシロ」に見えちゃうのは仕方ないとして、結果問題なかったです。
あえて補足するなら、普段から舞台を見る側からすれば「まあ始まれば気にならないだろう」「どう表現にしてくるのか」程度のもんです。
人形劇のプロが就いているだけあって繊細さとダイナミックさを兼ねているし、コメディの動きもばっちり。
パタモン飛んでる、かわいい。テイルモンのドロップキックもそれらしい。
黒子の皆さんも表情動きセリフ完璧だし、「人形+声優+操演」で1つのキャラクターじゃん。と思ったら案の定だった。
ありがとうございます。彼らには「アンサンブルじゃない、パートナーだ」「デジモンたちの魂を演じて欲しい」と伝えて、台詞も全部覚えてもらい、稽古途中までは自分の声で演じてもらってました。影だけど影じゃない、彼らの奮闘にもご注目頂けると僕も嬉しいです。 https://t.co/gvpzGb57HF
— 谷賢一 (@playnote) August 9, 2017
個人的に好きなシーンは、冒頭キャンプ決めのピヨモンで、雑誌の山に乗っかって空と同じ目線で会話をしているところですね。
「デジモンって、こういうサイズ感・距離感・コミュニケーションになるのか」とリアルに感じられます。
その他
物語の山といえば「進化」なのは当然として、その(最終的にはオメガモンだけど)グレイモン登場までが長いなーとは思った。
かといって、そこまでが退屈だったわけではなく、キャラクターの活き活きとした姿や、キャンプ場を冒険している感はあったので、会話劇として成立してるんですよね。
谷作品には「古典への造詣・リスペクトをベースにして」「演劇で社会的メッセージを投げかける/あるいは現代を生きる人々に活力を与える」ところがあると思ってます。
そう考えると「(Butter-Flyのタイミング然り)王道の王道を行きながら」「デジモンらしさを大切にしつつ」「(客席には)未来へ踏み出す勇気を与える」構造になっているんですよね。
めっちゃ演劇やん。
そもそもデジモンの展開そのものが「お約束」の感じあるから、相性は悪いはずがない。
だって東映作品だもの。仮面ライダーもプリキュアも時代劇、とはよく言ったものです。
どうでもいいけど私の中の特撮俳優オタクが「やっぱりシンケンイエロー(森田涼花)かわいい」「やっくん(松田岳)のルックスはブルーなのに芝居がレッド。忍ばずわっしょいはなるべくしてなった」と言っています。
ヤマトを演じる橋本祥平くんは、先日の舞台00で刹那を担当していたんですけど、情熱を秘めたクール系がハマっていますね。全く別の役をぶつけるとどうなるか、期待しちゃう。(やっぱりこういう芝居なのね…)で終わらないで欲しいですね。
あとは節々で、スタッフも演者も作品を読み込んでるのを感じました。
引用の山で悪いけど、
そして『Butter-Fly』が流れると無条件にテンション上がるくらいには、私もどうやらデジモンに染まったようです。今回の流し方は実に王道だが、パーフェクトであった。そう、王道こそ正義。
— 谷賢一 (@playnote) May 2, 2018
はじめて指摘されて嬉しい。デジモン経由で歌舞伎や演劇、文楽や人形劇にも興味を持つお客さんが増えてくれたら嬉しいな。日本の演劇、実はとてもレベルが高いのです。 https://t.co/EIlv8hcR0i
— 谷賢一 (@playnote) August 6, 2017
そして夏は舞台「デジモンアドベンチャー tri.」に出演させてもらいます!学生時代、土曜の夜から起き続けて日曜朝9時のデジモンだけは見てから寝るという引きこもりライフを満喫してた僕が、まさかエテモン様を演じる日が来るとは。。。明日の18時まで先行抽選受付中!応援しに来てねー! https://t.co/wFABGdmqPS
— オレノグラフィティ (@oreno_g) May 27, 2017
ゲスト枠として鹿殺しから、歌もコメディもアクションもできる人材を連れてきたのはボーナスポイント高いですね。
あとこれ。
朝起きたらエテモンになってた、デジモン20th。何と言うか、神さまありがとう。ある意味これが一番欲しかったんだ……! pic.twitter.com/kaGDw3TN9O
— 谷賢一 (@playnote) July 20, 2017
エテモン死んだ…… pic.twitter.com/zRsxuOb5fx
— 谷賢一 (@playnote) July 24, 2017
まとめ
デジモンだったし演劇だったし、着ぐるみの限界を拡げるような試みでもあって、良いものを観ることができました。
映像との融合も、大きなスクリーン(壁)を使いながら、デジモン達のアクションが観られました。制作会社が映像に強いっていうのを感じます。
もう「ちゃんと演劇してた」というのが高得点なんです。
「イケメンが衣装着込んでド派手アクションでプロジェクションマッピングでミュージカル」やるのが2.5次元ってわけじゃない。それを証明してくれた。
(考えてみれば、ヴァンデモン?の投影は『三文オペラ』での手法に通じるものを感じた。動く壁をスクリーンにして場面場面で使い分けるのは『光より前に』でさらなる完成形に至っていた。と思う。)
おまけ
デジモンファンの感想記事を置いていきます。
デジモンらしさについては比じゃないくらい詳しいので、併せてぜひ。「エテモンである必要性」をはじめ膝を打つ点が多数。
超進化ステージ『デジモンアドベンチャー tri. ~8月1日の冒険~』脚本・演出:谷賢一
2017 年 8 月 5 日(土)~8 月 13 日(日)@Zepp ブルーシアター六本木
※dアニメストアの配信サービスにて視聴