ようやく野田秀樹作品を観るチャンスが。
感想といいつつ、物語の内容に触れちゃっているのでご注意ください。
あらすじメモ
舞台は江戸時代。幕府はとりわけストリップの取締を強化しており、主人公ら旅芸人の一座も例外ではない。
そんな中、姉の三四代目出雲の阿国は城での上演を夢見ている。
(このくらいならセーフですよね…?)
見どころ
軽妙な言葉遊びの数々
どうしてこうもコロコロとコトバが出てくるのだろう!作者のセンスとしか形容できない自分が悔しい。
江戸時代だというのに「ストリップ」「ゴーストライター」などの単語が違和感なく出てくるあたり、現代の演劇として楽しめる作りであった。
劇中劇と物語世界の融合
虚構と現実がゆらぎ混ざっていく感じ?心地よい違和感?そんな感想。
将軍役のゴーストライター氏は本物の浪人で、劇中劇を装って殺し殺されの計画が...書いててわけがわからなくなってきたのでここまで。
足跡姫が創り出す「あしアート」
"舞台上に姫の姿は見えず足跡のみが見える"という筋書きを見事に具象化していた。阿国による狂ったような、しかし艶かしくもある姿で、目の前で創られていく足跡のアート。
完成したそれは美しい桜であった。
宮沢りえさんすごい!
語彙力ないなあ...
姉:阿国の姿と、足跡姫に憑依された姿。その切り替わりや同居している様が素晴らしい。ストリップを思わせるダンスシーンも多々あり、そこには怪しくも美しい輝きがあった。
兄妹愛や、女性同士の泥沼対立なども、目が離せなかったです。
装置メモ
舞台は奥行きが広く、若干の傾斜あり。装置らしい設置物はなくただただ木目が美しい。中央よりやや下手には花道が延びる。
床は巨大な回転盤になっていて、その大きさは舞台の8割はあろうか。その脇、舞台の左右(と花道)には人が出入りできる穴があってキレイに塞がれている。
動く床で逆走すれば背景を流すような使い方ができるし、円の中央を幕で遮り奥では大道具をセッティングするような使い方も。
両脇の柱は飾りではなく、囃子の演者が常駐していて場を盛り上げる。その内部は客席から見えており、能や歌舞伎を想起させる(江戸時代に引き込む)役割を果たしていた。
まとめ
台詞回しや物語のギミック、さらに役者が繰り出すコメディ部分の面白さ、ひとつひとつが丁寧であった。
それを可能にする脚本、取りまとめる演出があってこそと考えると、ああこれが「野田秀樹すげえ」と言われる所以なのかと。
もっと早く観に行くべきだった後悔と、次回作への期待を感じた一日でした。
「足跡姫」~ 時代錯誤冬幽霊 ときあやまってふゆのゆうれい ~/作・演出:野田秀樹
2017/01/27(金)@東京芸術劇場プレイハウス