プレビュー公演を観てきました。
まとまらないので雑多に書き殴る。
感想
走るとは何か、生きるとは何か。
2人の男の対極ながらも似通った人生を通して、今を生きる我々にその意味を問うような作品。
見方によってはスポーツ界の将来を占うような面もあって、こういう「受け手によって解釈が複数ある」「本質を問いに来る」ようなところが谷作品にはあると思う。『三文オペラ』『デジモン』くらいしか観てないけど。
なるほどなーと思った記事置いときます。
舞台を手がけた谷は「2人の人生は対極にありながら相似形であり、しかし正反対の結末にたどりつく。マラソンランナーの話でありながら人間関係が主体になっている物語です。円谷さんの悲劇は繰り返されてはいけないことで、現代に正しく伝えたいと思い作品化しました」と語る。
何のために誰のために「走る」のか。
本気でやってる時は意味なんて関係ないし、足をただ運ぶだけ。たしかにそうだ。
個人主義に映る君原も一周して、誰かの支えなしには成し得なかったと気づく。これも良い。
この「走る」を趣味でもライフワークでも何でもいい。別の単語に置き換えたらどうなるのか。
万人に突き刺さるテーマになる構造もまた素晴らしい。
作品内で思ったこといろいろ。
円谷や畠野は自衛隊の一員としてマラソンをやっている=軍の命令は絶対
コーチの解任&新コーチは専門が違う
いまでこそアスリートファーストが見直されてきた時代だけれど、最適解へには至ってないんだろうなと思った次第。
それと宮崎秋人という人物はやっぱりすごい。
このひと(登場人物としての円谷幸吉)もしかして障害持ちでは??と思ってしまうほど。(念のため書いておくと褒め言葉として使っています、障がいのある方を軽蔑するような意図ではありません。)
マラソン、生きる、ということにまっすぐに向き合い、ともすれば異様なまでの執着を見せる。
それ故に押しつぶされたんだなと。
役が憑依してたってもんじゃない。氏が向こうへ行っていたとしか思えない。
装置メモ
基本は素舞台。余計に役者の技量が光る。
高さの違うパーテションが舞台を区切ったり、スクリーンの役割を果たしたりもする。
それでも基本は何もなく、衣装とごく僅かの小道具だけでコーチと選手の雰囲気を出すのが巧みであった。
開幕然り、オリンピックの会場であり、手に汗握る光景が舞台上ではっきりと表されていた。
『光より前に~夜明けの走者たち~』脚本・演出:谷賢一
2018/11/14(水)19:00(プレビュー公演)@紀伊國屋ホール